在外
個
在住*
滞在
年齢
何処
才能*
発揮
とらわれる
地球*
住処
親類
根なし草
不安
里帰り
確認する*
自身*
ほっとする
たまに
懐かしい
季節*
風景*
抹殺する
空手*
柔道*
肌で感じる*
望む
政府*
十分*
想像する
畳
逝く
帰化する*
こだわる
賞*
縁*
岩崎久美子(Kumiko Iwasaki)(2007)「在外日本人のナショナル・アイデンティティ」:国際社会における「個」とは何か 東京:明石書店
「資料II フランス在住者インタビュー集」[6.画家(男性、[パリ在住]27年]
パリに来たのは1974年です。滞在年数は27年になります。年齢は、1947年10月8日生まれ54歳です。
…
今になって思うのですが、アメリカに行っても何処に行ってもよく、実際問題フランスでなくても良かったのです。私はコスモポリタンであり、自分の才能が発揮できて自由に生きていけたら、何処の国に住もうが良かった。コスモポリタンというのは自国他国にとらわれずこの地球が私の住処。パリ、ニューヨーク、東京と何処であれ、話す言葉は違っても地球の一部であることには変わりありません。(p312)
親や親類がどんどん亡くなってゆくにつれ、日本の地盤がなくなっていくことに対する漠然とした不安があります。日本人としてのアイデンティティーをなくし、<根なし草>になってしまうのではないかという不安です。毎年日本に里帰りするのは、そういう意味で自分の<根>を確認するためでもあります。年に一度必ず8月の1ヶ月間、家族4人で帰ります。妻はフランス人なので、我々の2人の子ども達はハーフです。彼らは毎年日本に行ってそこでどのように感じるのか、私にはわかりません。私自身のことをいえば、日本に帰るとほっとします。たまに日本に帰るといいですね、まるで懐かしい旧友に会った感じです。… 半分外国人みたいになってしまっている私にとって、日本にはいっぱい季節のおいしいものや、きれいな風景があります。 文化が違うからいいのかもしれません。そのすばらしい文化を忘れたくないような、抹殺したくはない気がします。(p322-323)
子どもに日本的なものを伝えたいと思います。だから先にも言ったように日本に里帰りをしているのです。2人の子ども達は空手から始まって、今は柔道をやっています。… 言いかえればスポーツを通して子ども達に日本を肌で感じて欲しかった。だから空手や柔道を学ばせたのです。スポーツをしている間だけでも、日本人らしくあってほしいと望んでいるからです。
フランス政府から、「フランス国籍を上げるので貰ってください」、そう言われても要りません。日本国籍で十分ですし、フランス国籍にする必要性が今のところ見当たりません。日本国籍で日本人を死ぬまでやっていきたいと思います。… しかし日本で<自分の一生を終える>、そのように想像することが出来ません。… 私は初めに言ったようにコスモポリタンですし、どこで死んでもよいと思います。日本人の多くが言うように<畳の上で死にたい>とは思いません。死ぬ時はどこでもいいから安らかに、そして静かに逝きたいと思っています。日本人として一生を終えようが、フランス人に帰化して一生を終えようが、私はあまりこだわっていません。賞をもらってフランスに27年前に出てきたのも<縁>なら、ここで死ぬのも<縁>ではないでしょうか。(平成13年11月、アトリエ兼自宅)(p.323)