downhearted action

日本語4B 第6−7週 テキスト
「カワイイ」世界に風 日本が歌姫の心をとらえた
(2006年1月1日 朝日新聞)

1万3千人で埋まった米国・フロリダのスタジアムが、低音のビートで地鳴りする。巨大画面には、東京を模した高層ビル街が映し出される。
スーパー
カ、ワ、イ、イ!
日本人のバックダンサーが回転しながら叫び、女子高生風の衣装をライトが赤、オレンジ、青と染め変える。
スーパー・キュート・イン・ジャパ・ニーズ!
総立ちの観衆のこだまがリズムを刻んで舞台に跳ね返った。
12月21日夜、グラミー賞5部門の候補に挙がる「ポップの女王」グウェン・ステファニー(36)のライブ。全米40都市を回ったツアーの最後が、ここだった。
グウェンは、96年に初来日した。東京の若い女性のファッションに「異星に到着した」と思った。「自己表現への情熱がすごい。西洋文化から刺激を受け、爆発するのが日本文化。私はそれを逆輸入したの」
それが、「スーパー・カワイイ」を前面に押し出すライブに進化した。
□   ■
ジャパン・アズ・ナンバーワン。24時間戦えますか。ギラギラした言葉が死語になったこの10年、日本語の「かわいい」が「カワイイ」となって、あふれ出した。
パリのテレビでは、話題の音楽や映画を紹介する情報番組「カワイイ」が放送中だ。番組名は日本と関係はなく、女性制作部員の口癖が由来だ。
ロシアのインターネット放送では、アニメ愛好家ジェーニャ・ダビデュクさん(24)が日本文化を語る番組が人気ベスト5入りした。ロシア語風の「カワイイナヤ」という言葉を連発する。
タイでは、日本の雑誌「Cawaii!」の地元版が10万部に達する。気温が30度近いバンコクの繁華街。長袖ニットと革ブーツの女性が行き交った。「カワイイ」を意識した日本風の装いだ。
□   ■
カワイイはアニメや漫画から広がり、美術家の村上隆氏(43)が02年にパリ・カルティエ現代美術館で開いた「Kawaii展」で文化的シンボルにまで上り詰めた。
日産自動車は、その村上氏を「翻訳者」に見立て、世界に打って出る。
05年10月、カタツムリそっくりの車体が180度回転する次世代車「Pivo」と、村上氏が作ったキャラクター「Pivoちゃん」を同時に発表した。欧米メディアは「日産+村上=kawaii」と書き立てた。
「草食動物のようなかわいさは日本車が切り込める唯一の武器だ」
カルロス・ゴーン社長(51)に引き抜かれ、デザイン改革を担う中村史郎常務(55)は、「欧米が造り上げた速くて強い肉食動物の車文化」と対比させて話す。社の開発中枢では、カワイイ車の研究が進む。
ゴーン氏自身はカワイイに、ものづくり日本の再生をみる。「あらゆる商品でカワイイを発信することで日本は新たな魅力を世界に伝えられる」

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